【Vol.19】福島県のソウルドリンク『酪王カフェオレ』【酪王乳業】
~郡山市観光協会 × ふくラボ!presents~
今月からはコーナーをリニューアルし、福島のタウンサイト「ふくラボ!」と共に郡山の魅力をご紹介します!
福島県人なら誰でも知っている『酪王カフェオレ』。福島県のソウルドリンクという親しみ深さはもちろんのこと、やみつきになるおいしさゆえ、県民から愛されてやまない商品です。その人気からソフトクリームやクリームボックス、最近では県内限定販売のカントリーマアムなどのコラボ商品も急拡大し、その勢いはとどまることを知りません。そんな『酪王カフェオレ』の魅力について、酪王乳業(株)営業部の南條部長にお話を伺いました。
【「酪王カフェオレ」誕生 】
『酪王カフェオレ』は、1976年の発売以来、変わらぬ味わいのロングセラー商品。おいしさの秘密は、半分以上を占めるコクのある県産生乳に、香り高いコーヒーを黄金比率で合わせているところ。ミルクの甘い香りにコーヒーの香ばしさが混ざり合い、濃厚ながら後味がとてもスッキリ。
「開発当時、主原料に脱脂粉乳を使用したコーヒー乳飲料が一般的で、原価の高い生乳をふんだんに使用したコーヒー乳飲料は市場にほとんど出回っていませんでした。酪王工場は福島の酪農家が集まり協同出資して1975年に設立された乳処理工場です。当時、操業したての工場は県内の酪農家が生産した生乳を使用し、優れた製品を生み出す使命がありました。そして試行錯誤の末、今日まで永い間ご支持をいただいている生乳たっぷりの『酪王カフェオレ』が生まれたんです。」
『酪王カフェオレ』の発売は、福島県産生乳の消費拡大という大きな目的に向けて取り組む挑戦の始まりでした。
【ファンのために!全力で応える姿勢】
酪王乳業では、自社商品のラインナップも充実しています。2016年11月に、『酪王カフェオレ』40周年を記念して発売された『酪王カフェオレアイスクリーム』は、わずか2週間で6,000個を完売。その後しばらくは、手に入りにくい"レアアイス"として扱われたほど。「こういった自社商品の開発は、酪王ファンの声が原点になっていることが多いんですよ。」と、南條さんは内幕を明かします。
実は『酪王カフェオレアイスクリーム』の前身として、酪王カフェオレソフトクリームがありました。イベントでお披露目したところ、大変好評で手応えを感じたそうです。とある物産展に出店した際、1人のお客様に「持ち帰りできますか?」と声を掛けられたそうです。なんでも、足が悪くて家から出られない家族にも食べさせたいということでしたが、ソフトクリームは家に持ち帰る前に溶けてしまう...。その時は丁重にお断りしたそうですが、この出来事が『酪王カフェオレアイスクリーム』の開発を加速させることになりました。「カフェオレをアイスにできれば、家でも味わえる。」待っているお客様の期待に応えたいと、社員全員が本気で取り組んだそうです。
【 震災と『酪王カフェオレ』ファンの絆 】
被災した2011年は、酪王乳業にとっても、苦難の連続でした。地震によって工場の一部が壊れ、一週間の操業停止。ようやく出荷の目途が立った矢先、政府は福島県産の原乳から、放射性物質が検出されたと発表。その結果、集乳していた生乳は、全て廃棄せざる負えない状況になりました。
当時のことを話す南條さんの顔には、悔しさがにじみ出ます。震災当時、市場にはしばらく牛乳が出回らなくなり、子育て中のお母さんの「子供に牛乳を飲ませてあげたい!」という声に何とか応えたいという思いと、従業員を守りたいという思いがありました。熟慮の末、県産原乳をあきらめて、一時期とはいえ岩手県から原乳を受け入れることに。それは、操業以来、県産生乳だけにこだわってきた酪王工場の、苦渋の"決断"でした。
結果、決して多くはないが、牛乳を必要とする家庭に届けることができたといいます。しかし、その一方で、思いもよらぬ話が耳に入ることに。「当時の牛乳パッケージには『福島県産生乳100%使用』という表記がありました。緊急避難的に岩手県から受け入れした原乳使用のため、酪王乳業では、所轄の監督官庁へ相談、許可を得てその表記の上からカバーシールを貼って対応しました。ところが、これが裏目に出てしまったんです。」
消費者の1人が、SNSに「福島県産を隠しているよ」という言葉とともに、表記シールを剥がした画像を付けて投稿をしたそうです。ネットで瞬く間にその情報は広まりました。「苦渋の決断をしたにも関わらず、この非難の声には、悔しく、落胆した。」と、当時を振り返ります。
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そんな中、当時千葉県在中の1人の女性が、同じSNSで声を上げてくれました。「・・・そんなことより『酪王カフェオレ』、美味しい!」(美味しいから飲んでいるのです)と伝わってくるフレーズで締めくくる彼女の福島を応援する書き込みが『酪王カフェオレ』ファンの心を動かすことになりました。これに賛同する声が、全国から徐々に集まり、ついには『福島酪王カフェオレ会』なるファンサイトが自然発足するまでに!会長はもちろん、最初に声を上げた千葉県の女性。
彼女に勇気づけられたのは、『酪王カフェオレ』ファンだけではありませんでした。「会社全体が彼女の言葉に励まされたんです。」震災から2年後の2013年、酪王乳業は首都圏の酪王ファンに向けて感謝会(第1回酪王カフェオレファンの集い)を企画実施しました。大々的な告知はなかったにも関わらず、200名以上のファンが集まったといいます。
「開場を今か今かと待つファンの列を見たら、感極まりましたね。」イベント中に『福島酪王カフェオレ会』の発起人である、勇気ある会長と初対面を果たしました。彼女の周りを社員総出で囲み、感謝の気持ちを、何度も何度も伝えたそうです。
【福島の魅力を世界へ】
「これまで、福島のお土産といえば銘菓が主流でした。近頃は『酪王カフェオレ』が福島の名物としてみてもらえるようになったのはうれしいですね。2020年のオリンピックで日本を訪れる世界中の人に飲んでもらいたい。そして福島のいろんなところに足を運んでもらいたい。」結びに、南條部長は笑顔で夢を語ってくれました。
お問合せ【酪王乳業株式会社】 福島県郡山市大槻町字古屋敷80-1 電話:024-951-7731 |
【郡山市内のスポット紹介:酪王カフェオレ】 https://www.kanko-koriyama.gr.jp/tourism/detail3-1-494.html |
【ふくラボ!郡山探検隊ページはこちらから】
https://www.fukulabo.net/is.shtml/labonews/hitomono-20180427
取材の様子もご紹介!ぜひご覧ください。