【Vol.27】開拓者の心の拠り所【開成山大神宮】
~郡山市観光協会 × ふくラボ!presents~
4月からコーナーをリニューアル!福島のタウンサイト「ふくラボ!」と共に郡山の魅力をご紹介します。
全国で唯一、明治以降に伊勢神宮の御分霊を許可された神宮があることをご存知ですか?今回はそんな"東北のお伊勢さま"開成山大神宮で宮司の宮本孝さんにお話を伺いました。
【 御朱印(ごしゅいん)帳が人気 】
最近、神社などのパワースポットを巡り、御朱印を集める女性や若者が増えています。「御朱印」とは元々、参拝者が写経を納めた際にいただく印でしたが、今では神社仏閣でお参りをした証としていただくことができます。七五三や初詣など、郡山市民にとって身近な開成山大神宮ですが、いつからこの地に在るのでしょうか。
【 開成山大神宮の成り立ち 】
明治維新後政府は失業した武士たちに仕事を与える「士族授産」、産業の育成を目指す「殖産興業」の進展を急務としました。福島県でも明治6年、枯渇した安積原野の開拓が始まります。
「当時、水を巡る争いも多かったそうです。開拓当初は元二本松藩士や、農家の次男三男らが開墾に汗を流しました。しかし、同じ仕事をしているのにみんなの心はバラバラ。新しい土地での開拓を行う彼らには心の拠り所が必要だということで、この地に遥拝所が建てられます。そして、ご祭神を伊勢神宮の御分霊にしたいと政府にお願いしたところ、伊勢神宮の御分霊奉遷を許されたのです。明治9年、"開成山大神宮"の誕生です。皇室の御祖神をお祀りすることで国家の恩恵を受けさせようと破格のお沙汰があったのだと思います。朝敵の汚名を受け民心動揺の状態に明治天皇は、この民情を深く御憂慮されたといいます。戊辰戦争で敗れたこの地は政敵になりますが、薩摩、長州出身の大久保利通ら政府首脳たちには贖罪の気持ちがあったのかもしれません」と宮本さんは語ります。
明治11年以降、久留米藩など全国から旧士族2,000人が刀を捨て、安積の地へとやってきました。方言も風習もバラバラでしたが、彼らは花見や開成山大神宮の祭りで打ち解けて、力を合わせて開拓に励み、安積疏水が完成。現在まで郡山を発展させる礎となります。
【 宮司の宮本さん 】
宮本さんは高校の社会科教師から一転、38歳から開成山大神宮に奉職しているそうです。「地域を良くしていくことが、私たち神職の仕事です。郡山そして福島が良くなることを率先して体現しようと思い、本業以外の音楽イベントなどにも積極的に取り組んでいます」と宮本さん。「この仕事をしていてよかったと思うのは、様々な人にお会いできること。お祝い事で神宮にお見えになる方々の、嬉しい瞬間に立ち会うことも有難いことですね。また、お祭りなどで多くの方にお手伝いいただくのですが、神宮の仕事を手伝ってくださる方はやさしい人ばかりです。自然と地域との関係が深まるので、悪いことはできないですね」と笑います。
【 東日本大震災が転機に 】
「震災時、救援物資を奪い合うのではなく、被災者の忍耐強く、克己心ある行動に世界中から驚きと称賛の声が寄せられました。日本人は"いつも神様に見られているという意識"があり、自然に倫理観が培われてきた。自分の利益だけではなく、全体のつながりを大切にしてきたのです。震災から数日経つと参拝される方が増えました。寒さの中で整然と並ぶ多くの人々を目の当たりにして私自身も感動を覚え、自分にできることは何かを考えました。原発の風評被害を払拭するためにも、郡山に人を呼び込まなければ...しかし切り札がない。そこで思いついたのが音楽。音楽都市という看板を活かして、音楽で地域を応援したいと思ったんです」
こうして、歴史と文化のある場所へ実力のあるアーティストを招いて「野口英世記念ふくしま国際音楽祭」などが開催されることとなったのです。
宮本さんはこう続けます。
「神社と洋楽という組み合わせは一見ミスマッチのように感じるかもしれません。でも、雅楽に代表されるように神社と音楽は切っても切れないものなんですよ。神様はきっといろんな音楽が好きだと思いますよ(笑)」
歴史ある神宮と音楽の調和。今も変わらず人々の心の拠り所で在り続ける開成山大神宮へ、ぜひ足をお運びください!
【 初詣について 】
参道に露店も立ち並び、多くの人で賑わいます。大変な混雑が予想されますので、元日はお気を付けて足をお運びください。参拝のねらい目は元日の早朝5時なんだそうです。初日の出とともにご参拝ください!
【 御朱印帳 】
開成山大神宮オリジナルの御朱印帳も頒布しています(1,500円)。御朱印の収集だけでなく、その神社の歴史などにも目を向けてみるとより楽しめますよ!
お問合せ【開成山大神宮】 電話:024-932-1521 |
【郡山市内のスポット紹介:開成山大神宮】 https://www.kanko-koriyama.gr.jp/tourism/detail2-3-243.html |
【ふくラボ!郡山探検隊ページはこちらから】
https://www.fukulabo.net/is.shtml/labonews/hitomono-20181228
取材の様子もご紹介!ぜひご覧ください。