【Vol.30】あのころのままの味、家伝ゆべし【かんのや】
【Vol.30】あのころのままの味、家伝ゆべし【かんのや】
~郡山市観光協会 × ふくラボ!presents~
4月からコーナーをリニューアル!福島のタウンサイト「ふくラボ!」と共に郡山の魅力をご紹介します。
銘菓「家伝ゆべし」を手掛ける、菓子製造販売店かんのや。季節に合わせた限定商品も展開していることをご存知ですか。今回は四半世紀にわたってゆべしを手包みする職人、橋本光一さんにお話をうかがいました。
【 かんのや 】
福島県を代表する人気の和菓子「家伝ゆべし」。その始まりは1860年、菅野文助が「菅野屋(かんのや)」を名乗って柚餅子(ゆべし)を作ったことなのだそうです。家伝ゆべしは、薄く伸ばした生地でこし餡を包み、三方をつまんで蒸し上げた和菓子。生地には醤油の香りが漂い、もちっとした食感が特徴となっています。なめらかな餡は上品な甘さ。ケシの実が香ばしい余韻を残します。独特な形は、鶴が翼を広げた姿がモチーフ。横から見ると、翼を表す模様が入っているんです。かんのや本店文助でしか原則購入できない「手包み生ゆべし」も、見逃せない商品のひとつとなっています。
【 かんのやのゆべし 】
「柚餅子とは、一般的に柚子の実を使ったお菓子のこと。全国各地で製法や形状が異なります。東北では柚子を使わず、クルミの入った四角い餅菓子が多いですね。かんのやの家伝ゆべしは、さらにこし餡を包んだ物なので、他店の商品とはまったくの別物なんですよ」。
そう語るのは、かんのや本店文助でゆべしを手包みする橋本光一さん。
「最近は機械化が進み、家伝ゆべしの生産も機械での作業が中心。それでも私は<ゆべし職>として本店で生ゆべしを手作りしています。家伝ゆべしは時代に合わせてサイズなどを変えていますが、手作りの生ゆべしは昔ながらの製法を貫いているんですよ」。
ゆべし職とは機械でなく手作業でゆべしを作る職人を指し、生ゆべしとは昔ながらの手包み生ゆべしのことなのだそうです。
「味や食感を変えないために、季節や気温によって材料の分量を調整したり、素材の状態によってひと手間加えたりしています。柔らかい餡なら水気を取り、固い生地なら蒸気を当てたり」。
愛され続ける味を変えないためには、時期や素材に合わせて細かく対応することが大切なのだとか。ずっと変えないために日々変えていくという姿勢に、職人のこだわりがうかがえました。
【 季節の商品 】
かんのやでは『家伝ゆべしさくらあん』のように、季節ごとの限定商品も魅力のひとつとなっています。どのような経緯で開発されることになったのでしょうか。
「和菓子はもともと、四季を楽しんでいただくための物。かんのやの商品でも季節を感じてほしいという思いから、開発されるようになったんです。春限定のさくらあんでは、白餡に桜の葉を加えることで、香りから春を感じられるようになっています。また秋冬限定の山塩あんでは会津の山塩を使うなど、素材にもこだわっているんです」。
限定商品の開発を通して地産地消にも取り組んでいるということでしょうか。
「地産地消ももちろんですが、福島県だけでなく国内各地のいい素材を使っていきたいですね。安価な輸入品ではなく、あくまで日本の物。それが和菓子として守っていくべき文化であり、ロマンだと思うんです」。そう語る橋本さんの口もとには、優しい笑みが浮かんでいました。
【 世代をつなぐ共通言語 】
人々に愛される味を提供し続けてきた、かんのや。今後はどのような活動に力を入れていくのでしょうか。
「近年では<風とロック LIVE 福島 CARAVAN日本>といったイベントにも出展しています。ゆべしと音楽は一見かけ離れているように感じられますが、実は共通点があるんです。学生のころに聴いていた音楽は、いま聴くと当時の思い出が蘇るもの。ゆべしも同様で、ご年配の方なら昔ながらの懐かしい味として楽しめますし、若い方なら祖父母の家で食べていたシーンが思い出されるのではないでしょうか。音楽もゆべしも、それぞれの世代に寄り添う共通言語ではないかと思いますね。
今後は<ゆべしといえばかんのや>と言われるよう、県内だけでなく県外に向けたPRにも力を入れていきたいです」。
橋本さんによると、震災で県外に避難した方から「避難生活中に家伝ゆべしを食べる機会があり、変わらない味に懐かしさを感じて涙が出ました」という手紙が届いたそうです。いまも変わらない、あのころのままの味。かんのやの商品で四季の移ろいを感じてみてはいかがでしょうか。
【 季節の商品以外に、福島の桃を使った商品が新発売 】
【 ふくしま桃のフィナンシェ 】
桃の果実を練り込んだ生地に、自然素材由来の桃グミをトッピングして焼き上げた洋菓子。桃の風味が強く感じられる一品です。
【 ふくしま桃の和菓子 】
桃の果実を溶かした白餡を桃山生地で包み、手作りされた和菓子。ほどよい酸味がたまりません。1日50箱限定販売の商品です。
【 季節の商品について 】
販売期間に関しましては、商品お取り扱い店舗へご確認ください。
お問合せ【株式会社 かんの屋】 電話:0247-62-2161 |
【郡山市内のスポット紹介:富久栄珈琲】 https://www.kanko-koriyama.gr.jp/tourism/detail3-9-444.html |
【ふくラボ!郡山探検隊ページはこちらから】
https://www.fukulabo.net/is.shtml/labonews/hitomono-20190329
取材の様子もご紹介!ぜひご覧ください。
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